高等部入学!

ヤマギシの高校に入学するにも、試験があった。ほとんどは合格するのだけど、筆記試験も面接試験もあった。何ぶん18年前のことなのではっきり憶えていないことばかりだけど。筆記試験は、英語、数学、社会だったかなぁ。問題は一般の高校とは違って、基本的なところから応用問題まで、さすが東大出身の村人が考えるだけのことはある問題だった。
面接での思い出がある。
「高等部に入ったら、その次は何をしたい?」
「はい、大学部に行きたいです。そして、社会づくり(注:ヤマギシ会の目指す社会をつくるという意味)」をやっていきたいです。」
「高等部は男女交際禁止だよ?」
「はい、わかっています。」
というやり取りだ。
高等部に入る段階で、ヤマギシの村人になって一生やっていきたいという思いを持っていた仲間たちが他にいたのかは分からないけど、私はとにかくヤマギシの村で生きていきたかったのだった。今考えてみても、根本のところでは変わっていないような気がする。ヤマギシ会自体は3年後にはなれてしまうんだけど、ヤマギシの考え方、やってきたことにはそんなに嫌な思いがないのだ。どこかで、ヤマギシ会に似たようなことをやりたい、と思っているのかもしれない。
それはともかくとして、男女交際禁止、というのは運営する側から見れば非常によく分かる問題だ。年頃の男女が、親元から離れて寮で暮らし、職場では決して一緒にならないように隔離していても、ヤマギシのイベントスタッフなどを一緒にやったり、10人1テーブルの食事(項を改めて説明する)で顔を合わせたりすれば、きっとなんとかなってしまう。もし何とかなってしまったら、運営側としては大変になってしまうだろうからだ。15歳の私は、3年後に自分がその問題に直面するとは夢にも思わずに、のほほんと「自分は平気だ」と思っていたのだった。
そうして、91年の4月にヤマギシズム学園高等部に入学した。