ヤマギシの村とは?

ヤマギシの村とはどんなところなのか?ヤマギシ会本部の説明もあるにはあるhttp://www.koufukukai.com/gaiyou.htmlのだが、もっとざっくりいってみよう。
まず、ヤマギシ会には無所有という考えがある。ごくおおざっぱにいうと、すべての物はだれのものでもなく、したがって誰が使ってもよいのだが今は誰かの手元にあって使われている、といった考え。これをきいて、原始共産型社会だね、といった人がいたがその方面にまだ私が疎いのでその表現が適切かははっきりとはわからないが、字面的には似ているのかもしれない。
まぁ、簡単にいえば村の中で生活するのにお金がいらないということ。具体的には、衣食住すべてが無料なのだ。
お金がなければ、どうやって物を手に入れるのかというと、「提案」用紙というものに「長靴26?、1足ください」と提案すると、数日後それが「調整」されて、私の手元に届くというシステム。だから、服を選びたくても、基本的には誰かが私に合うものを選んできてくれるというわけで、デザインを選べるわけではない。で、その「調整係」は外の社会から物を仕入れてくるわけで、その時は経費などで購入するのだろうが、高等部男子のジーパンのメーカーは、当時EDWINや LEVI'S が流行っていたのにもかかわらず、ほとんど全員がGL HEARTというよくわからないメーカーのものだった。ウエストの部分にゴムが入っていたっけ。
衣服の場合は、ある程度提案すれば手に入ったのだが、マンガから小説などの本、音楽テープなど、高等部の秩序を乱すとされるものは正規のルートでは決して手に入らない。どんな社会にも裏ルートはあるもので、私などは年2回自宅に帰った時に本を買ってもらった(あのとき買ってもらった「マルコムX自伝」は今も大切に持っている)り、中学時代の友人にテープを作ってもらったりして隠して持って帰ったのだった。そのテープを交換したりして、ウォークマンもまた別の友人から借りたりして聞いていたのだった。だから、私の高等部時代は、ブルーハーツと、長渕剛ビートルズの”青盤”で過ぎたと言っても過言ではない。懐メロ特集を見ても、当時の3年間流行っていた音楽はほとんど知らないのだ。
と、どうでもよい余談が過ぎたが、不平不満さえいわなければ結構何でもそろう、ある意味楽な社会でもあったのは事実である。しかし、モノが満たされたからと言って人の心は収まるわけではない。しかも、どこの社会もそうだがヤマギシ会の幹部はものすごくたくさんの洋服を部屋に持っているとかいう真偽不明のうわさもあったりと、表に出ないところでいろいろ不満は言っていたのだった…。
そうそう、ヤマギシの村の別名は、当時「カネの要らない仲良い楽しい村」と呼ばれていた。もっとも、私の場合は親が”外の社会”にいたから高等部の学費を月額○万円払っていたのであり、むろんのことカネが要らなかったわけではない。これをどう説明していたのかというと、印象的だったのは「おカネのいる世界からおカネの要らない世界に入ってくるのはおカネがいるんだよ」という説明。卑近な例で言えば、遊園地に入るためのパスポートを買っているようなものかね?